未来へと味を紡ぐ絶対不可欠の調味料 中華料理店『保昌(ほしょう)』

家系総本山吉村家 吉村 実 会長

家系総本山吉村家
吉村 実 会長

 1974年、横浜にオープンした小さなラーメン店、吉村家。後に「家系」と総称されることになる、とんこつ醤油ラーメンが生まれた伝説的なラーメン店です。店では富士食品の調味料を長く使っていただいています。今回は、今も横浜の地で営業を続けながら、全国の弟子を育て上げている家系総本山吉村家の創業者であり、会長でもある吉村 実さんに貴重な話をうかがいました。ここで初めて解禁された、家系の味のヒミツも!?

line

家系ラーメンの誕生

 運転手だった20代の頃、東京のある屋台によく行っていました。そこが、生ニンニクのたっぷり効いたラーメンだった。若いし、力仕事をしていたから、そういう味がうまい。それから九州の門司まで行った時、そこで食ったラーメンもうまかった。初めて知るとんこつの味に感動したわけです。その2つがどうにも好きで自分もやってみようと。せっかくだから博多と東京の真ん中を取ろうと思って、とんこつと醤油を合わせることにしました。とんこつに鶏ガラ醤油を合わせる、家系ラーメンのスタイルが誕生した瞬間です。

写真B

味の決め手は

 こだわりはあるかですか? そんな質問は勘弁してください。こだわるのなんて当たり前です。プロなんだから、こだわりを持たなくちゃ。ラーメン屋も、このご時世に何も工夫しないスープを出しているような店はダメだと思う。常連が生まれるような店は、みんな工夫しています。これは初めて言うんだけど、うちのスープの決め手は鶏油。そう、実はとんこつでも醤油でもないんです。家系のスープのうまさは鶏油で9割決まると言ってもいい。鶏ガラや豚はどこの肉屋でも大体買えるんですが、鶏油だけは鹿児島のあるメーカーから継続して仕入れています。そこの鶏油が知る限り、日本で一番うまい。でも、これが高いんだな。でも、うちは高くても買うんです。鶏油は重要なポイントだからどうしても譲れない。わかる人がうちのラーメンを見れば、わかる。鶏油でスープがきらきら光ってるんです。


 それから麺は、関東のあるメーカーのものを、これも長年使っています。弟子が地方に店を出す時は、送料が高くなるからどうしても麺から変えようとする。けど、仕入れ先の変更は絶対勧めない。ラーメン屋たるもの、数十円でビビってもしょうがない。いいものは裏切らずにうまい。スープと麺に関してはケチしないことが大切だと思います。
 具材がチャーシュー、のり、ほうれん草の3種なのにも、ちゃんと理由があるんです。チャーシューは山のもの、のりは海のもの、ほうれん草は畑のもの。山海の珍味を、限られた具材で表現している。これは一種の哲学みたいなものかもしれない。

写真C

お客様は我が味の師なり

 座右の銘は「お客様は我が味の師なり」。もともとがトラック運転手。料理人じゃない。味はお客様が教えてくれました。「もうちょっと醤油入れてみなよ」「もっと塩入れてみたら」って。お客様は一期一会、まずかったら二度と来ない。店はいつでもうまいものを出せるようにするために真剣です。最初の頃は味を作るのに苦労したけど、意見をくれる貴重なお客様がいたからこそ今の吉村家があります。

写真D

 だからお客様の言うことは絶対。もちろんラーメンそのものにはこだわる。けれど、好みに応じてアレンジしてもらって構わない。例えばよくあるのが、店主のこだわりが強くて、食べ方まで指定されるような店。他にも、胡椒のひとつもカウンターにないような店。そういうタイプの店は好きじゃないです。人間誰しも好き嫌いが違うんだから、いろんな種類のものがあった方がいい。だから吉村家では、トッピングと調味料をたくさん用意して、自分好みにアレンジして食えるようにしています。かくいう私だって、気分や体調で好みが変わりますし。どんな調味料をどんなタイミングで入れようが、どんなトッピングを追加しようが、一向に構いません。何と合わせてもうまくなるよう、ラーメンはシンプルにしているので。


オススメ調味料、OHotとGHOT

 もちろんトッピングも調味料も、何でも導入するわけじゃありません。まずは自分が味見して、ラーメンに合うなって思ったものを入れています。全部自分のオススメだから、どれを選んでくれても嬉しい。富士食品の粗挽きトウガラシ「OHot」は2000年に発売された時に入れました。1口食べて、すぐに「うまい!」ってわかった。ラーメン屋の勘ってやつかな。今でこそ辛いラーメンが人気だけど、当時はそこまでじゃなかった。でも、世の中辛い食べ物が好きな人は多いから、絶対に人気になるって予想してた。それが今じゃ激辛ラーメンがすごい人気。うちのラーメンも「OHot」を入れるのが人気。しっかり辛くなって、これがうまい。


 青唐辛子「GHOT」は、試食した時から「肉に合うな、これは」と思っていました。特にチャーシュー麺によく合う。実際、チャーシューの上にのせて食べるお客様をよく見ます。絶対そう食べる人が現れるはずだって信じていた。勘ですかね、これも予想していたんです。だからチャーシューに「GHOT」を載せて食べるお客様を見ると嬉しいねえ。「自分と好みが一緒だ」って。もちろん、食べ方は強要しません。「GHOT」もどう食べてもらったっていい。スープにたっぷり加えてもらってもいい。ただじゃないから、ほどほどの量にしてくれると嬉しいですが(笑)。

写真E

地道にコツコツ、これからも

 年齢も年齢だから、自分はそろそろ引退。人生、もう最後の段階だと思っています。ラストスパートですね。舌はまだ若い自信がある。高級な店のコース料理よりも、スーパーで買った若者向けの飯の方がうまいと感じるくらいなので。その舌を信じ、調味料やトッピングは、会長になった今でも常に新しいものを探しています。ラーメン作りと新たな味変の発見を、これからも変わらず続けていく。粛々と続けていくだけです。地味にコツコツお客様のためだけに。食べた人に感謝されるようなラーメンを出し続けていきたいと思っています。

写真F

line

使用商品:OHotグリーン300 粗挽きトウガラシ

使用商品:GHOT(ジーホット)細挽き青唐辛子ペースト

line


  • お店紹介

    家系総本山吉村家
    大きな地図で見る
    TEL:045-322-9988
    〒220-0005 神奈川県横浜市西区南幸2丁目12-6
    アクセス/相鉄本線、横浜市営地下鉄ブルーライン「横浜駅」より約5分
    JR「横浜駅」より約6分
    京急本線「横浜駅」より約8分
    平沼橋駅から388m

line